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Retouch(リタッチ)は、引退した競走馬たちが肥育場(肉にするために肥らせる場)で過ごしている馬たちに、乗馬として活躍できる機会を提供することを目的とした活動を行っています。この活動の名称でRetouch(リタッチ)は、「(馬に)再び手を差しのべる」という意味を込めて名付けられました。
競馬産業では、毎年7000頭以上のサラブレッドを生み出し、競馬は多くの人気を誇っています。その人気を担ってくれているのがサラブレッドでもあります。しかし、競走馬の引退後の馬たちには厳しい現実が待っています。肉や魚を食べて生きている私たちにとって、馬だけの命を救うことは複雑な問題ではありますが、私は馬が好きで、"救える命"があるなら行動を起こすことが何より大切だと考えています。
競走馬として活躍しているサラブレッドは、食用として飼育される動物とは性質が異なり、競走馬は「走らせるために産ませてきた」という背景に、人間の都合や期待が大きく関わっています。そのため、結果を残せなかった馬たちが「肉にされる」という現実は、本当に心が痛むものです。もちろん、このような状況に対し、さまざまな考え方が存在するのは理解していますが、その中でも命を大切にする思いを持ち続けることは重要だと考えます。
しかしながら、同時に「かわいそうだから馬を救う」という発想だけでは、持続的な活動には限界があるのも事実です。競馬の役目を終えて肉用馬として過ごすことを強いられた馬たちに、手を差し伸べ、乗馬という新たな舞台で活躍できる機会を与えることで、彼らの一度きりの人生(馬生)を少しでも長く豊かに過ごしてもらいたいと私たちは願っています。そして、人と馬、お互いの関係を通じて「幸せ」を感じられる瞬間を共有できることを強く望んでいます。
「馬を癒すことによって、私たちが逆に馬から癒されている」「私たちが馬に教えていると思っている間に、実は馬たちから多くのことを学んでいる」という体験は、日々の中で多くあります。誰かのため、何かのために行うという事ではなく、お互いが「今を生きるために支えあう事を共感」し合えることこそ、このRetouch(リタッチ)活動を通じて実現できればと考えています。支援してくださる皆様と共に、命に寄り添いながら、これからも活動を続けていきます。そして、この思いを大切にし、一緒に取り組んでいくことが、少しでも多くの命を救う力になると私は信じています。皆様と一緒に、この活動が広まり今の引退馬の行く末が馬たちにとって安心できるものになるまで、皆様のお力を借りながら活動を進めて参ります。
令和6年10月17日
Retouch(リタッチ)代表 野口 佳槻
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