Retouch(リタッチ)代表の野口佳槻です。
さて、11月上旬、◆1・2頭目/Retouch(リタッチ)始動!『肥育場で過ごす2頭』の引き取りが出来ました!
今回は、その時の状況を報告レポートとして、お伝えいたします。Retouch(リタッチ)メンバーの皆様には、大変長らくお待たせしてしまいました。
10月下旬、現地を訪れ肥育場の社長さんとお話させて頂きました。←その様子はコチラ。
その肥育場には、8頭ほどの馬たちが過ごしていました。競走馬を引退した引退馬なのか、それとも繁殖に携わった繁殖牝馬(母馬)で、もうその子供を必要としなくなった馬なのか、詳細はわかりませんがサラブレッドたちが過ごしていました。
しかし、そのサラブレッドたちの中に、"かわいいポニー"も混じっていました。(画像はあまりにもの風景で掲載できませんが、蹄が伸びきっていてとても歩ける状態にない!蹄が10㎝程度上に巻き上がっている状態でとても連れて帰ることさえできない状況)"全ての馬たちをつれて帰りたい!"毎回、ここに来るとそんな気持ちがこみ上げてきます。しかし、予算的なこともあり1頭1頭の馬体の状態や怪我等を見極めながら、今回は2頭の馬を選ばせて頂きました。
馬の顔に装着されている"ムクチ"に取り付けられた馬名の入ったエンブレム。きっと、現役時代はこの子に期待を込められ、オーナーさん・関係者の方が作ってくださったんでしょうね。牧場や厩舎ではごく当たり前の風景が、この肥育場ではその1つ1つが特別に見えてしまう。そんな場所でもあります。また、そんな"ムクチ"に取り付けられている"お守り"を目にすることもあります。「神様、、、どうかこの子を守ってあげてください」厩舎の入り口に、この肥育場から旅立った馬たちの"山積みされたムクチとヒキテ(ひも)"彼らの生きた証、形見と表現してもいいでしょうか?
ムクチに取り付けられたゴールドのエンブレム
(はっきりと馬名が刻まれていました)※修正で消しています
今回は、あえて希望する生徒たちの中から3名の東関東馬事高等学院の生徒を同行させることにしました。私たちが思う以上に「動揺」してしまうかもしれません。それでも、その現実を実際に目にすることで、馬社会の将来を担ってくれるこの生徒たちが、こうした馬たちのことを考え少しでも何かの行動にいつか移してもらえれば…という私の勝手な願いからでもあります。生徒たちは、肥育場で過ごす1頭1頭のすべての馬たちに、やさしく声をかけてくれていました。
さて、そんな時間を過ごしていると馬運車の到着の連絡が入りいよいよ積み込みの時間となります。肥育場内での馬たちは、本当にみんな驚くほど穏やかに過ごしています。しかし、馬運車のエンジンがかかり馬房から馬を出す時は、厩舎内の雰囲気が一転、穏やかな馬たちはすごいパニック状態?緊張感に包まれた雰囲気となります。これから出される馬よりも、残された馬たちのイナナキ。
通常、ここから出される場合、それは"死"を意味します。それらをしっかりと馬たちも理解しているようで、連れ出される馬たちは逆に抵抗せず素直に、一方、残された馬たちは恐怖感に包まれ"厩舎の雰囲気が大変な状況"となります。
積み込み作業、これは本当に大変な瞬間です。馬からすれば、当然ながら"自分の生死の分かれ目の瞬間"。『たまらない恐怖心が襲う事でしょうし、現実から逃げ出したい!!いっそ、夢ならいいのにと、何度も何度もほっぺをたたくでしょう。しかし、何度叩いても冷めない現実・・・、本当に恐怖でしかない』私が馬なら、きっとそう思います。
この肥育場には、それまでの道が狭くて大きな馬運車が入っていけません。したがって、一旦、肥育場の馬運車(通常、馬の出荷にも使われる馬運車)に乗せて、大きな道路で馬を積み替えます。ですから、馬たちにとっては、一旦、そこで出荷に使われる馬運車に乗せることになります。(本当に、怖い思いをさせてごめんね)
積み込みを、ただただただ待つ馬の表情・・・
(↑この子は、今回引き取りになった馬です。)
肥育場さんの馬運車に乗せる状況
馬運車から馬運車に積みかえる作業
いよいよ2頭の馬たちの積み込みが完了し、出発となりました。
馬の到着を待ってくれていた生徒たち、到着後すぐに『馬体を洗い流し、放牧もして、たくさんのご飯を!ここは安心できる場所だよ』それを状況でしっかり判断してもらえればと1つ1つ丁寧に!
さぁ、大丈夫だから。大丈夫だから。そう声をかけながら、生徒たちもたくさん馬たちに語りかけてくれました。救った馬への喜びよりも、残してきた馬たちへの罪悪感・・・。本当に本当に、申し訳ない。帰り道、私はいつもそう思います。
その馬たちの分まで、この子たちには、幸せになってほしい。
きっと、久しぶりの丸洗い・・・
放牧場で自由に・・・
この子たちは、肥育場にやってくる前から、すでに
"生まれた時から馬に添付される健康手帳"はありません。
したがって、『生年月日も、父母名も、そして自分の名前もわからない。』
生徒たちによって、新しい名前をつけてもらいました。
ハル(栗毛)とパヴォーネ(青鹿毛)
さぁ、新しい乗馬への人生に向けて再出発だね!
どんな馬なのかわからない!単に、競走成績が良くなかったから肥育場に送られたのか?それとも、何か悪癖があるからなのか?それとも、何らかの疾患があるのか?ゆえに、1つ1つ慎重に。運動の補助道具として、調馬策という馬具を用いて、馬とのコミュニケーションを図りながら、運動に慣らしていきます!
お利口さん!!補助道具なしで、一人で運動できることを確認しました
よくやったね!騎乗する高校生からたくさん褒めてもらいました
さぁ、この子もいよいよ環境に慣れて来たところで騎乗開始へ!厩舎で馬装をし、いよいよ運動へと。他の馬たちとも対面し、乗用馬としての再調教。
本当に素直に、一所懸命にトレーニングに取り組んでくれます
最後は2頭で記念撮影
現在、千葉県の山武市『旧:日向小学校』の馬事学院で、乗馬への再調教へと挑んでいます。まだ、環境に慣れない分、元気に飛び跳ねたりしますが、それも元気な証拠!生きている証拠!だね。
肥育場で過ごしていた環境から一変、たくさんの馬たちと一緒に運動できる。カメラを向けるとハル(鹿毛)は、前に!前に!と出てきます(笑)
ご支援いただいた皆様のお陰で、まずこの2頭の命がつながったことは、まぎれもない事実です。誰がなんと言おうと「この2頭の命がつながった」のです。
林前代表が全国探しまくって、見つけてくれた肥育場さん。そして、快く理解してくださった肥育場関係者の皆様。そして、Retouch(リタッチ)支援者の皆様。馬事学院のスタッフ・生徒たち。みんなの思いがあってこその、この2頭の命がつながりました。
この子たちの未来に栄光あれ!
引き続き、Retouch(リタッチ)をよろしくお願いいたします。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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