報告レポート①
皆さんが救ってくれた肥育場からの引退馬に会える!乗れるツアー/引退馬の森
Retouch(リタッチ)会員の皆様、クラウドファンディングのご支援いただいた皆様、いつもありがとうございます。林由真です。さて、今回は1月16日にメンバーの皆様、並びにクラファン支援者の皆様をご招待させて頂き、記念すべき第1回目のツアーが行われましたので、その報告をお届けさせて頂きます。
当日は天候にも恵まれ、冬を感じさせないくらいの暖かい陽気でした。
予定としては
「東京駅集合からバスでバジガク→到着後にご挨拶をさせていただいてから引退馬の森へ移動→森の中を乗馬体験→馬達との触れ合い→学校に戻ってレッスン風景の見学→乗馬体験→触れ合い→施設内見学」という盛りだくさんの内容でした。
皆様へのご挨拶が私にとっては一番のプレッシャーでした。
私は人前で話すような機会は今までありませんでしたし、時間を見ながら皆様へ感謝を言葉でお伝えしなければなりません。
何日もかけて文章作成からの発表練習を行いましたが、どうにもうまくいかないままに当日を迎えました・・・。そんな気持ちなので前日も寝つきが悪く、寝不足気味でバジガクに向かいました。いくら考えても仕方がないので、少し早めに向かって保護した馬達に会いに行こうと思いました。
到着後、スタッフさん達はいつも以上に慌しくしており、当日のツアーの準備に追われている様子でした。学校はいつも授業やレッスンが行われており、生き物相手なので休みもありません。
なので・・・、ツアーを行うことは普段の業務と並行しなくてはなりません。
本来は発起人の私がすべての段取りを一人でしなくてはならないところを全面的に協力をしてくださったバジガク関係者様。その様子を見て、私よりも迎え入れる準備をする人達は何倍も大変だということに気づかされました。
私が自信無くみっともない姿を見せることは、準備を頑張ってくださった方々の苦労を無駄にしてしまうことになると思いました。
なので・・・、今まで自分がしてきたことと、その活動に賛同してくださった方々への感謝をしっかりと自信を持って伝える決意ができました。
スタッフさん達に挨拶を済ませ、日程の打ち合わせが済んでからまだ時間があったので、保護した馬達に会いに行きました。
自然と先に足が向かったのは、ダイヤ号でした。
この子はとっても人懐っこく、いつも様々な表情を見せてくれるので癒されます。
この日も顔をすり寄せてきて一緒に戯れて遊んだ後、リバー、トーマスなど保護した子達みんなの様子を見に行きました。写真や動画撮影に夢中になっていると、あっという間に時間になってしまい、野口さんからバスが到着するとの連絡が入りました。
そして、ついに支援者様とのご対面です。
皆様とても明るく優しい雰囲気の方々でした。
中には大阪からツアーのためにホテルまで取って参加してくださった方もいらっしゃいました。
参加者様は部屋に集まっていただき、野口学長を始めとしたスタッフさん達と私で皆様へのご挨拶をすることになりました。
野口さんから冒頭のご挨拶をしていただき、私がご挨拶をしてからスタッフさん達のご挨拶という予定でした。野口さんから紹介していただき、私の番になった時に皆様の視線が一斉に向けられます。その瞬間、予定していた冒頭の挨拶からすべてが飛んでしまい、頭が真っ白になりました・・・
挨拶直前の打ち合わせの際に、野口さんから「30分くらいありますから、時間は気にせずに話してください」と言われていたので、
「あっ、終わった・・・」
という気持ちだけが思い浮かびました。
まずは自己紹介から始め、スタッフさんが用意してくださっていた馬達の紹介用紙があったので、順番に馬達の説明をさせていただきました。
説明文には書いていない、私が体験したことや感じたことなどを中心に1頭ずつ説明をしていったのですが、「とにかく沈黙にならないように」と必死だったので、何を話していたのかあまり覚えていません。
そうこうしていると、野口さんとスタッフさん達がソワソワした雰囲気になり、野口さんから「あと5分以内で!」と書かれたメモを受け取りました。
気づくと20分以上話続けていたようです。
普段は人とのコミュニケーションはあまり得意ではないのですが、「馬を大切にしたい」という考えの方々がたくさん集まってくださったことが嬉しくて、色々と余計なことまで話をしていたようです。
私が話過ぎたせいでスタッフさんの挨拶をする時間がなくなってしまい、予定時間がオーバーしてしまったので、すぐに引退馬の森へ移動になりました。
名前の通り、森に囲まれた自然を感じることができる開放的で穏やかな場所です。
放牧場ではすでに体験乗馬のための馬達がスタッフさんと引馬を担当する生徒さん達とともに待機していました。その様子を見た参加者様は馬との触れ合いや、乗馬を楽しみにしている様子でした。入口近くの放牧場では、ナッツ号とミモザ号が皆様をお出迎えしてくれました。
皆様はご自分の支援によって救われた馬との初対面です。
ピカピカに手入れがされており、穏やかな表情を見せる2頭の姿を見た瞬間に感極まっている方もいらっしゃいました。順番に2頭と触れ合っていただいたのですが、「良かったね」と皆様おっしゃっておりました。その「良かったね」は、とても感情がこもっていました。
そして、順番に森の中を乗馬体験していただきました。
東京から近い場所で森の中で乗馬ができる場所は初めて見ましたが、森林浴と馬の体温を感じることができる素晴らしい施設だと思いました。乗馬を終えた方々はニコニコしており、とても楽しんでくださったようでした。乗馬は1回で3名ずつなので、その間は他の方はナッツとミモザと触れ合ったり、写真を撮影されたり、ニンジンをあげたりして楽しんでおられました。
2頭とも競走馬としては残念ながら日の目を見れなかった子達ですが、保護されてからバジガクでスタッフさんや生徒さん達に大切にされる生活を送ることで、再び人間を信頼してくれるようになりました。そんな2頭はたくさんの方に囲まれて撫でてもらい、オヤツをもらったりして幸せそうにしていた姿を見て、私も自分の活動が間違っていなかったと実感することができました。
乗馬体験が終わって学校に戻りました。
そこでは保護された子達がどれだけの成長をしたのかをお披露目するための準備が行われておりました。そして、皆様に集まっていただき、広い運動場で保護された子達が順番に障害を飛越後、1頭ずつ皆様の前で立ち止まり、ご挨拶をしていきました。
障害をキレイに飛越するたびに皆様から「おー!!」という声が聞こえてきました。
その後、保護した子達との体験乗馬が始まりました。
保護された子達と触れ合ったり、実際に乗ることができたりと、皆様とても喜んでくださいました。そして、参加者様が「この子はマッシュですよね!」 「この子はリバーですよね!」と、名前を覚えてくださっていたことがとても嬉しかったです。体験乗馬が終わった後、馬達は皆様からニンジンをいただき、なでなでされてご機嫌な様子でした。
それから施設を見学していただいたのですが、バジガクでは行き場を失くしたポニーだけでなく、ヤギ、羊、猫なども積極的に保護をしているため、ミニ動物園のような雰囲気になっています。参加者様は色々な動物を見ることができて喜んでおりました。
イベントが終わりましたが、参加者様がとても協力的だったこともあり、予定よりも30分ほど時間が余ってしまいました。そこで野口さんから「林さん、残りの時間を皆様と話をしてください」との指令が・・・。最初の挨拶で時間が足りなかったので、話し足りないだろうと思われてしまったようです・・・
せっかく良いイベントだったのに、最後に皆様を30分も放置するようなことがあっては悪い印象で帰ることになってしまうと思い、「頑張ります!」と意気込んでみたものの・・・
ツアーのような団体行動だと予定通りに行かないイメージがあったのですが、参加者様とスタッフさんのおかげでトラブルもなく、スムーズにイベントを進めることができました。
しかし、スムーズ過ぎたことで最後にまた試練が・・・
自己紹介も馬達の紹介も最初にしてしまったので、ネタ切れ状態でした。
質問は怖いのでやりたくなかったのですが、一応聞いてみたところ特にありませんでした。
なので、クラファンを立ち上げるまでの経緯から現在に至るまでのこと。
今まで体験してきた人間関係や競馬界と保護界のことなどを、お話させていただきました。
しかし、私が経験してきたことの90%以上は辛く、悲しい話です。
それをそのまま話したところで楽しい気持ちになることはありませんし、聞いた人からは「そんな現実知りたくなかった」「単なる愚痴じゃないか」と思われても仕方がないことばかりです。ですが、私の考えとしては「保護活動は良いですよ。楽しいですよ。」と良い場面ばかりを伝えるのではなく、辛い現実も伝えることで、聞いた人が自分なりに解釈をして保護活動に参加してもらいたいと思っています。
人に言われて続けているのでは、何かあった時にすぐに離れることになります。
しかし、自分で考え、自分で答えを出し、自分なりの保護活動をすることで、長く続けることができます。それが結果として1頭でも多くの馬を保護できることに繋がると私は信じています。
「〇〇は大きい団体だから」「〇〇さんは有名な人だから」
など、どんな理由でも保護活動に参加してくれる人が増えるのは良いことだと思います。
しかし、私はリタッチを大きくしたいのではなく、長く一緒に続けられる仲間とともに活動をしていきたいと思っています。それは、今まで私が保護活動によって、心から信頼していた人達に次々と裏切られ、利用され、踏み台にされてきた経験があるからです。
なので、私は信頼してくれる人を利用するようなことをしてまで、保護活動をするつもりはありません。それがクラファンやリタッチにも賛同してくださっている方への「誠意」だと思っています。
前置きが長くなりましたが、そのような想いも含めてお話をしようと思ったのですが、30分では足りず、半端なところで終わってしまったことが心残りとなりました。
参加者様がどのように感じて帰られたのかはわかりませんが、私の想いが少しでも伝わり、これからも一緒に活動を続けていけることを願っています。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!
林 由真